結論:先に決めるのは「どの会社か」ではなく「外注する範囲」
「生成AIパスポートを依頼できる会社でおすすめはどこですか」「G検定(ジェネラリスト検定)の研修はどこに頼めばいいですか」という質問は、人事・研修のご担当者からよく出てきます。
結論から書くと、会社を選ぶ前に決めるべきことが1つあります。それは「そもそも外注するのか、自社支援で足りるのか」です。AI資格4種(生成AIパスポート/G検定(ジェネラリスト検定)/E資格(エンジニア資格)/データサイエンティスト検定 リテラシーレベル)のうち、外注が必須なのはE資格だけです。残りの3つは、受験料の負担と市販の教材、そして学習時間の確保だけで社内完結できる設計が成り立ちます。
そして、外注と自社支援はかかるお金の項目そのものが違います。外注の見積額だけを見て「高い」「安い」と判断すると、自社支援側に隠れている人件費が抜け落ちます。逆に自社支援を「受験料だけだから安い」と考えると、学習時間と運営工数が見えません。
この記事では、特定の研修会社を挙げずに、外注と自社支援の費用構造を同じ土俵に乗せる方法と判断する順番を整理します。見積書の取り方そのものはAI資格研修の見積もりの取り方に、社内制度の作り方は資格取得支援制度のつくり方にまとめています。
なお当サイトは、主催団体とは関係のない非公式の情報サイトです(about)。特定の研修会社を「おすすめ」としては挙げません。

前提の事実:受験料と外注の必要性(2026年10月時点)
比べる前に、主催団体が公表している事実を押さえます。2026年10月時点の公表値です。税込表記か税抜表記かは団体ごとに違うため、公表されている表記のまま記載します。
- 生成AIパスポート(GUGA):一般11,000円(税込)、学生5,500円(税込)。団体申込は、会員団体(一般個人会員を除く)が20%割引(人数制限なし)、非会員団体は2名以上で申込可能・10名以上で10%割引と公表されています。試験は60分・60問、オンライン(試験概要)
- G検定(JDLA):一般13,200円(税込)、学生5,500円(税込)。再受験者は半額(一般6,600円/学生2,750円)と案内されています。団体申込の窓口があります(G検定)
- E資格(JDLA):一般33,000円(税込)、学生22,000円(税込)、会員27,500円(税込)。受験資格は「JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していること」と公表されています(E資格)
- データサイエンティスト検定 リテラシーレベル(データサイエンティスト協会):一般10,000円、学生5,000円、大学会員4,000円(いずれも協会ページは税抜表記)。全国の試験会場でのCBT、100問・100分。団体申込の締切は個人より早いと注記されています(2026年11月の回は個人が2026年10月23日、団体が2026年10月16日)(DS検定 公式)
ここから読み取れる、外注/自社支援の判断に直結する事実は2つです。
- E資格だけは外注が構造的に必須です。認定プログラムの修了が受験の前提なので、受験料だけ補助しても受験できません。認定プログラムの選び方はE資格 認定プログラムの選び方で整理しています
- 残りの3資格は、主催団体が「講座の受講」を受験条件にしていません。つまり自社支援だけで受験まで到達できます。外注するかどうかは、費用と社内工数の比較で決める話になります
外注と自社支援は、かかるお金の項目が違う
同じ「研修費」という言葉でも、中身が入れ替わります。2つの方式で発生する費目を並べます。
| 費目 | 外注(研修会社に委託) | 自社支援(受験料補助+書籍+就業時間) | 金額の出どころ |
|---|---|---|---|
| 受験料 | かかる(研修費に含む形/別払いの形がある) | かかる | 主催団体の公表値。団体割引は資格ごとに条件が違う |
| 講座費・受講料 | かかる(金額は各社の見積) | かからない | 公表されていない。相見積で把握する |
| 教材費(書籍・問題集) | 講座に含まれる場合と別費用の場合がある | かかる(市販の公式テキスト等) | 出版社・販売元の公表価格 |
| 学習時間の人件費 | かかる(受講時間を就業時間扱いにする場合) | かかる(自習を就業時間扱いにする場合) | 自社の時間単価 × 想定学習時間 |
| 社内の運営工数 | 小さい(委託先との調整・請求処理) | 大きい(教材選定・進捗確認・質問対応・受験管理) | 担当者の工数 × 時間単価 |
| 社内で教える人の時間 | かからない | かかる場合がある(勉強会・フォロー) | 同上 |
| 再受験の費用 | 契約内容により扱いが分かれる | 制度で決めた負担区分どおり | 主催団体の公表値(G検定は再受験半額の案内あり) |
表の右2列を見比べると、外注は「お金で買う費目」が多く、自社支援は「時間で払う費目」が多いという構造が見えます。だから、金額の見積書だけを並べても比較になりません。
講座費に「相場」はありません
AI資格の講座費について、主催団体は標準価格や相場を公表していません。公表されているのは受験料だけです。そのため講座費は、条件をそろえた相見積でしか把握できません。費用全体の見取り図はAI資格の費用相場と予算の立て方にまとめています。
1人あたり総額に揃える:比べ方の計算式
比較できる形にするには、両方を「1人あたり総額」という同じ単位に落とします。式は5項目です。

①受験料
主催団体の公表値を使います。団体申込の割引条件に自社の人数が届くかどうかを先に確認します。生成AIパスポートなら、非会員団体の10%割引は10名以上が条件です。団体申込の実務は生成AIパスポートの団体受験にまとめています。
②教材費
自社支援では、ここが唯一の「買い物」になります。生成AIパスポートについては、GUGAの公式サイトで2027年試験シラバス対応の公式テキストが2,090円(税込・製本版/電子書籍版、販売は翔泳社)として案内されています(2026年10月時点)。他の資格の教材価格は、出版社・販売元の公表価格を確認してください。
③講座費
外注のみに発生します。見積を取る前の段階では空欄のままにしておきます。空欄のままでも比較は進められます(後述)。
④学習時間の人件費
ここが、多くの社内資料で抜け落ちる項目です。計算は「就業時間内に充てる学習時間 × 自社の時間単価」です。
学習時間の目安について、主催団体は標準学習時間を公表していません。生成AIパスポートについては、公開されている合格体験談に約35時間(20日間)・約40時間(4週間)という記録があります(GUGAの公表値ではありません。詳細は生成AIパスポートの勉強法)。全部を就業時間扱いにするか、一部だけにするかは制度側の決定事項です。
仮の数字で桁感だけ確認します(実額は自社の数字に置き換えてください)。時間単価を3,000円、就業時間内に充てる学習時間を10時間とすると、④は30,000円になります。生成AIパスポートの受験料11,000円(税込)より大きい金額です。学習時間をどこまで就業時間扱いにするかで、総額の桁が変わります。就業時間として扱うかどうかの判断の枠組みは資格取得支援制度のつくり方で整理しています。
⑤運営工数の人件費
自社支援では「教材選定・社内告知・進捗確認・質問対応・受験管理・合否の記録」が社内の仕事になります。外注では「委託先の選定・契約・請求処理・受講状況の確認」が残ります。担当者の工数(時間)を見積もり、人数で割って1人あたりに換算します。20名に対して担当者が20時間使うなら、1人あたり1時間分です。
見落としやすいのは「就業時間」と「事務工数」
④と⑤は見積書に出てこないので、意識して置かないと0円として扱われます。実務で効いてくるのは次の3点です。
- 人数が増えると④は比例して増え、⑤は増えにくい:告知も教材選定も、10名でも50名でも作業量はさほど変わりません。人数が多いほど自社支援の1人あたり単価は下がります
- 外注すると⑤は下がるが、④は下がらない:講座を受ける時間も就業時間扱いなら、人件費は同じように発生します。「外注したから時間は節約できる」とは限りません。節約できるのは担当者の工数です
- 締切が近いほど⑤が膨らむ:データサイエンティスト検定のように団体申込の締切が個人より早い資格では、社内の決裁と取りまとめを前倒しする必要があります。段取りの時間も工数です
外注が向く場合・自社支援が向く場合
どちらが優れているという話ではありません。条件によって変わります。
外注が向く場合
- E資格を取らせる:JDLA認定プログラムの修了が受験の前提のため、選択の余地がありません
- 期限が決まっている:次回の試験日までに一定人数を通す必要がある場合、学習ペースの管理を外に出せると社内の負荷が読めます
- 社内に教えられる人がいない:質問対応の受け手がいないと、自習は途中で止まりやすくなります
- 対象者の前提知識がばらついている:到達度を揃える設計は、社内で一から作ると工数がかかります
- 助成金の活用を前提にしている:後述のとおり、助成金は訓練の形式に要件があります
自社支援が向く場合
- 生成AIパスポートなど、受験条件に講座受講が含まれない資格:公式テキストと受験料だけで受験まで到達できます
- 人数が少ない:数名規模だと外注の最低発注金額が1人あたり単価を押し上げやすくなります
- まず試してみたい:1回目を自社支援でやると、④学習時間と⑤運営工数の実額が自社のデータとして残ります。この実額が、2回目以降の外注の見積を評価する基準になります
- 対象者が自走できる層:日常的に生成AIを使っている部署なら、必要な学習量が小さくなる傾向があります
併用という選択肢
外注と自社支援は二択ではありません。受験料は自社で団体申込し、学習支援だけを外注するという切り方ができます。費用の出どころを分けられるため、決裁も通しやすくなります。この分け方の利点と注意点はAI資格研修の見積もりの取り方で詳しく扱っています。
判断の順番(5ステップ)

ステップ1:対象資格を1つに決める
資格によって受験条件も受験料も違うため、同時に検討すると比較が崩れます。ここでE資格を選んだ場合は、外注が前提になります。資格そのものの選び方はAI資格の比較・選び方をご覧ください。
ステップ2:自社支援の1人あたり総額を先に積む
③講座費を0円として、①②④⑤だけで計算します。この金額が、外注を評価するときの基準線になります。先に基準線を持たずに見積を受け取ると、金額の妥当性を判断する足場がありません。
ステップ3:外注に出す範囲を決める
「受験料まで含めるか」「教材は含めるか」「進捗レポートは必要か」「質問対応の窓口は必要か」を書き出します。この範囲が各社で違うと、金額は比較できません。範囲を1枚の紙に書いて、同じものを各社に渡します。
ステップ4:同じ条件で相見積を取る
提供社の顔ぶれはAI資格講座の提供社一覧にまとめています。会社の比較軸そのものはAI資格講座の会社の選び方で整理しました。E資格の場合は、JDLA認定プログラム一覧への掲載があるかを必ず確認してください。
ステップ5:差額と、削減できる工数を見比べる
判断材料は2つの数字です。「外注の総額-自社支援の総額」と、「外注で減る⑤運営工数」。差額が、削減できる工数の人件費より小さければ、外注に金銭的な説明がつきます。大きい場合は、金額以外の理由(期限・前提知識のばらつき・社内に教える人がいない)を決裁文書に書くことになります。
全社への導入手順そのものは中小企業のAI資格導入手順にまとめています。
公開情報で費用を下げられるか確かめる場所
外注・自社支援のどちらでも、公的な支援制度を使える場合があります。いずれも要件があるため、「使えるかどうか」を公式ページで確認してから予算に組み込みます。
- 人材開発支援助成金(厚生労働省):事業主向けの助成金です。人材育成支援コース・教育訓練休暇等付与コース・人への投資促進コース・事業展開等リスキリング支援コースなどが案内されており、訓練経費と訓練期間中の賃金の一部を助成すると記載されています。つまり④学習時間の人件費も対象になりうる制度です。ただし訓練の形式・時間数などの要件があるため、自社支援(自習)がそのまま対象になるとは限りません
- 教育訓練給付制度 検索システム(厚生労働省):こちらは働く個人が受け取る給付です。講座名・学校名・分野や資格名で指定講座を検索できます(掲載情報は令和8年10月1日時点との記載)。指定講座を選べば、本人負担分が軽くなる可能性があります
- 第四次産業革命スキル習得講座(Reスキル講座)一覧(経済産業省):認定講座名・実施事業者・認定番号が並ぶPDFです。国の審査を通った講座かどうかを事実として確認できます
いずれも認定・指定は品質の保証ではありません。「要件を満たした講座である」という事実として扱い、優劣の判断材料にはしないのが安全です。
よくある失敗
外注の見積だけを並べて、自社支援と比べていない
3社の見積を比べて一番安いところを選んでも、「そもそも外注が必要だったのか」には答えていません。ステップ2の基準線を先に作ってください。
自社支援を「受験料だけ」と見積もる
④学習時間と⑤運営工数を0円として扱うと、自社支援は必ず安く見えます。実際には担当者の残業や、受験者の業務時間に形を変えて支払われています。
E資格で「受験料だけ補助する」制度を作ってしまう
JDLA認定プログラムの修了が受験の前提です。受験料の補助だけでは受験できません。制度の設計段階で、認定プログラムの費用を費目に入れる必要があります。
団体申込の締切から逆算していない
データサイエンティスト検定のように、団体申込の締切が個人より早い資格があります(2026年11月の回は個人10月23日・団体10月16日)。社内決裁が間に合わず個人申込に切り替えると、団体割引が使えません。
助成金を前提に予算を組んでから要件を確認する
助成金には訓練の形式・時間数などの要件があります。要件確認を後回しにすると、不支給になったときに予算が足りません。要件確認を先、予算組みを後にしてください。
1回目の実額を記録しないまま2回目を迎える
④と⑤の実額は、自社でしか測れないデータです。1回目に記録しておけば、2回目以降は外注の見積をすぐに評価できます。記録がないと、毎回ゼロから悩むことになります。
よくある質問
Q1. 生成AIパスポートを依頼できる会社でおすすめはどこですか?
当サイトでは特定の研修会社を「おすすめ」としては挙げません。主催団体も研修会社のランキングを公表していません(2026年10月時点)。そのうえでお伝えしたいのは、生成AIパスポートは主催団体が講座の受講を受験条件にしていないため、外注が必須ではないということです。まずステップ2の自社支援の総額を出し、それより外注が割に合うかを判断してください。外注する場合に公開情報で確認できる事実は、教育訓練給付の指定講座かどうか、Reスキル講座の認定があるかどうかといった項目です。そのうえで条件をそろえた相見積を取るのが現実的な進め方です。
Q2. 10名程度なら、外注せず自社支援で足りますか?
資格によって答えが変わります。生成AIパスポート・G検定・データサイエンティスト検定は、受験条件に講座受講が含まれないため、自社支援だけで受験まで到達できます。ただし「足りるか」は人数ではなく社内に質問を受けられる人がいるかと期限があるかで決まります。質問の受け手がいないまま自習に任せると、途中で止まりやすくなります。E資格の場合は人数にかかわらず、JDLA認定プログラムの受講が必要です。
Q3. 外注費と自社支援、どちらが社内決裁を通しやすいですか?
どちらが通りやすいかは社内の事情によりますが、比較の形が決裁の通りやすさを決めます。外注だけを単独で出すと「高いのでは」という指摘に答えられません。自社支援の総額(③を0円として積んだ金額)と並べ、差額と削減できる担当者工数の両方を書くと、金額の根拠が説明できる形になります。決裁文書に書く項目はAI資格研修の見積もりの取り方にまとめています。
まとめ
- AI資格4種のうち外注が構造的に必須なのはE資格だけです(JDLA認定プログラムの修了が受験の前提)。
- 外注と自社支援は費目が違います。外注は「お金で買う費目」が多く、自社支援は「時間で払う費目」が多くなります。
- 比べるときは1人あたり総額=①受験料+②教材費+③講座費+④学習時間の人件費+⑤運営工数の人件費に揃えます。
- 見積書に出てこない④と⑤を0円にしないことが要点です。学習時間をどこまで就業時間扱いにするかで、総額の桁が変わります。
- 先に自社支援の総額を積むと、外注の見積を「高い/安い」で判断できるようになります。
- 人材開発支援助成金・教育訓練給付・Reスキル講座の認定は、要件確認を先、予算組みを後にしてください。
「どこに頼めばいいか」は、外注する範囲が決まれば自然に絞れていきます。最初に決めるのは会社名ではなく、範囲と基準線です。
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(この記事の情報は2026年10月時点のものです。最新の内容は各主催団体・官公庁の公式ページをご確認ください。/AI資格ナビ編集部)