G検定(ジェネラリスト検定)の勉強法を調べると、「30時間で受かった」「100時間かかった」と幅のある数字が並びます。どちらも受験者本人の体験としては本当ですが、そのままでは自分の計画には使えません。この記事では、JDLA(一般社団法人日本ディープラーニング協会)が公開しているシラバスの10分野を土台に、独学で回す順番と時間の割り振り、つまずきやすい分野の抜け方を手順として整理します。勉強時間はあくまで目安として示し、根拠にはJDLAの公表値と合格者アンケートを使います。
結論:3段で回す。テキスト1巡 → 分野別演習 → 時間を計った通し演習
G検定の独学は、次の3段に分けて進めると迷いにくくなります。
- 1段目:公式テキストを1巡する(全体の約4割) シラバスの10分野を通して読み、用語と分野の位置関係をつかみます。このとき覚えきろうとしないのが大事です。
- 2段目:分野別に問題を解く(全体の約4割) 分野ごとに問題集を解き、間違えた論点だけをテキストに戻って読み直します。ここで初めて記憶に入ります。
- 3段目:時間を計って通しで解く(全体の約2割) オンライン試験は100分で145問程度。1問あたり約41秒しかないため、「解ける」と「時間内に解ける」は別物です。
この順番を崩して「1段目で完璧に覚えてから2段目へ」と進めると、たいてい要素技術の途中で息切れします。G検定は多肢選択式の知識問題なので、読む→解く→戻るの往復回数が得点に直結します。

勉強を始める前に確認する試験の事実(2026年9月時点)
計画を立てる前に、主催団体が公開している数字を押さえます。以下はすべてJDLA公式のG検定ページとG検定のよくある質問に記載のある内容です(2026年9月時点)。
- 受験資格:制限なし。認定講座の修了などの条件はありません(受験要件が課されるE資格とはここが違います)。
- 試験時間:オンライン試験は100分、会場試験は120分。
- 問題数:受験形式に関係なく145問程度。多肢選択式の知識問題です。
- 受験料:一般13,200円(税込)、学生5,500円(税込)。
- 合格ライン:JDLAは「合格ラインおよび得点については開示しておりません」としています。「◯割で合格」という基準は公表されていません。
- 結果発表:試験から2〜3週間程度で、受験サイトに登録したメールアドレスに通知されます。
- 出題範囲:シラバスから出題されます。現行版はG2024#6〜版で、2024年11月実施のG2024#6から適用されています(シラバス改訂のお知らせ)。
日程については、2026年はオンライン試験が年6回、会場試験が年3回(第2回・第3回・第5回)の実施です(2026年の年間開催スケジュール)。2026年9月時点で年内に残っているのはオンラインの第6回(11月6日・7日)だけなので、「今から年内に受ける」なら逆算の起点はここになります。
合格率の水準も気になるところですが、直近の2026年第5回(2026年9月4日〜6日実施)は受験者14,908名・合格者11,475名・合格率76.97%と発表されています(JDLA発表)。回ごとの推移と「合格率が高いことをどう読むか」はG検定の難易度と合格率|JDLA公表の回別データと合格ラインの見方にまとめています。この記事では、そこから先の「では何をどの順でやるか」に絞ります。
勉強時間の目安と、10分野への割り振り
JDLAが公開している合格者アンケートでは、「G検定受験までに要した学習時間は、『30〜50時間』が一番多く、25.3%。ついで『15〜30時間』の21.5%、『50〜70時間』の18.4%」とされています(G検定について(試験概要・学習方法・合格者体験談))。同じページの合格者体験談でも「30時間程度」「約40時間」「60時間学習」「約80時間」と幅があります。
つまり、30〜50時間あたりが目安の中心で、下は15時間、上は80時間超まで散るのが実際です。AIや統計の予備知識、業務での接点、目標とする得点の余裕によって変わるため、この数字は「自分がどのあたりに当てはまりそうか」を測る物差しとして使ってください。
次の表は、合格者アンケートの中心である40時間を想定して、シラバス10分野に時間を割り振った例です。JDLAは分野ごとの出題比率を公表していないため、重みづけは公式テキストの章立ての厚みと、独学でつまる場所から組んだ配分例(目安)です。分野名はJDLA公開のシラバス(G2024#6〜)の表記に合わせています。
| 回す順番 | 分野(シラバスの表記) | 時間の目安 | つまずきやすさ | この分野での到達点 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 人工知能とは(技術分野) | 2時間 | 低 | 定義と分類を自分の言葉で言える |
| 2 | 人工知能をめぐる動向 | 3時間 | 中 | ブームと冬の時代を年代順に並べられる |
| 3 | AIに必要な数理・統計知識 | 4時間 | 高 | 平均・分散・確率・行列の用語でつまらない |
| 4 | 機械学習の概要 | 5時間 | 中 | 教師あり/なし/強化学習と評価指標を区別できる |
| 5 | ディープラーニングの概要 | 4時間 | 中 | 勾配・活性化関数・学習の流れをつなげて言える |
| 6 | ディープラーニングの要素技術 | 8時間 | 高 | 手法名と「何を解くための工夫か」が対応する |
| 7 | ディープラーニングの応用例 | 5時間 | 中 | 画像・言語・音声・生成の代表例を挙げられる |
| 8 | AIの社会実装に向けて | 3時間 | 中 | 企画から運用までの流れと注意点を追える |
| 9 | AIに関する法律と契約(法律・倫理分野) | 3時間 | 高 | 権利の所在と契約類型の名前が出てくる |
| 10 | AI倫理・AIガバナンス | 3時間 | 中 | 主要な原則・ガイドラインの趣旨を説明できる |
各分野に何が含まれるかはG検定の出題範囲(シラバス)|10分野の内容と改訂点で分野別に解説しています。最新の正本はJDLA公式ページから配布されているシラバスを確認してください。
範囲別の独学手順①|技術分野8つは「数理・統計を前に出す」
技術分野はシラバスの並び順に読むのが基本ですが、独学では1か所だけ順番を入れ替えると楽になります。「AIに必要な数理・統計知識」を、シラバス上の位置(技術分野の最後)ではなく、「機械学習の概要」の前に持ってくるという入れ替えです。
理由は単純で、機械学習と要素技術の説明には、確率・分布・行列・微分の言葉が前提として出てくるからです。後回しにすると、要素技術の8時間を「数式の読み方がわからないまま手法名を暗記する時間」に使ってしまいます。表の順番(1→10)は、この入れ替えを済ませた並びにしてあります。
1巡目(読む)でやること・やらないこと
- やる:章末の用語を指でたどって「見たことがある/ない」を仕分ける。ない用語に印をつけるだけで進む。
- やる:分野の切り替わりで一度手を止め、「この分野は何を問う分野か」を1行メモする。
- やらない:数式の導出を追う。G検定は多肢選択式の知識問題なので、導出の再現は求められません(実装と数式を問うのはE資格側です)。
- やらない:ノートへの清書。1巡目は印と1行メモで十分です。
2巡目(解く)でやること
分野ごとに問題を解き、間違えた選択肢の「なぜ違うか」まで言えるようにします。G検定は正解の用語を知っていても、選択肢が言い換えられていると落とせます。「正解を選べた理由」より「残り3つを切れた理由」を書き残すほうが効きます。
演習の入口としては、JDLAが公開している例題から入るのが確実です。例題の使い方と分野ごとに間違えやすい論点はG検定の予想問題10問|分野別の解き方と間違えやすい論点で扱っています。教材そのものの選び方はG検定の対策講座と教材の選び方|費用と認定の見方を参照してください。なお、JDLA監修の書籍としては『深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト)公式テキスト 第3版』(2024年5月発売)が公式ページで案内されています。
範囲別の独学手順②|法律・倫理分野2つは「直前に寄せる」
法律・倫理分野は「AIに関する法律と契約」「AI倫理・AIガバナンス」の2分野です。技術分野と違って積み上げが要らず、覚えた内容が抜けやすい性質があるため、学習期間の後半〜直前に寄せるのが合理的です。表の配分でも9番目・10番目に置いています。
ただし「後半に寄せる」は「余ったらやる」ではありません。技術分野に押されて手つかずのまま当日を迎えるのが、独学で最も起きやすい取りこぼしです。計画を作る段階で、試験2週間前から法律・倫理に触れる日を先に確保してしまうのが確実です。
この2分野は、条文や原則を丸暗記するよりも「誰の権利が、どの場面で問題になるか」という場面とセットで覚えるほうが選択肢を切れます。用語だけを単独で覚えると、似た名前のガイドラインや原則が混ざります。

つまずきやすい分野と、その抜け方
独学で手が止まりやすいのは、表で「つまずきやすさ:高」とした3か所です。それぞれ、止まる理由と抜け方が違います。
AIに必要な数理・統計知識
止まる理由は、統計の講義をやり直そうとしてしまうことです。抜け方は範囲を「シラバスに出てくる用語が読めるところまで」に切ることです。分布や行列の計算練習に入り込むと、時間が際限なく伸びます。用語を読めるようにして先へ進み、要素技術で詰まったら該当箇所だけ戻る、という往復のほうが早く着きます。
ディープラーニングの要素技術
止まる理由は、手法名の数が多く、暗記の対象が平坦に見えることです。抜け方は手法名を「何の困りごとを解くための工夫か」で束ねることです。学習がうまく進まない問題への対処、過学習への対処、計算量への対処——といった困りごとの軸で並べ替えると、名前の数は変わらないのに思い出す手がかりが増えます。配分で8時間と最も厚くしているのはこの分野です。
AIに関する法律と契約
止まる理由は、技術分野とは頭の使い方が違い、後回しにしたまま時間切れになることです。抜け方は前節のとおり先に日を確保すること、そして場面とセットで覚えることです。

残り日数が足りないときの詰め方
40時間を確保できないときは、削る順番を先に決めます。削ってよいのは1段目(読む)の精度で、削ってはいけないのは3段目(時間を計った通し演習)です。
- 残り2週間・20時間前後:1巡目の読みを「用語の仕分け」だけに割り切り、分野別演習に時間を寄せます。法律・倫理は最後の3日に固めて入れます。
- 残り1週間・10時間前後:テキスト通読をやめ、問題を解いて間違えた箇所だけテキストに戻る形に切り替えます。通し演習は最低1回、必ず本番と同じ時間で行います。
- 残り3日:新しい教材を増やさず、間違えた論点の見直しと、法律・倫理の用語確認に絞ります。
時間内に解ききる練習を省くと、知識があっても後半の問題に届きません。オンライン試験は100分で145問程度=1問あたり約41秒という前提を、体で確認しておく価値があります。
独学でよくある失敗5つ
- 旧シラバスの教材で勉強している 現行はG2024#6〜版です。中古書籍やまとめ記事を使うときは、対応している版を必ず確認してください。
- 「合格ラインは7割」と決めて逆算している JDLAは合格ラインを開示していません。公表されていない基準を前提に「ここは捨てる」と決めるのは危険です。
- 数理・統計を飛ばす 後続の要素技術の理解速度が落ち、結果として総時間が増えます。
- 法律・倫理が手つかずで当日を迎える 10分野のうち2分野です。日を先に押さえておけば防げます。
- 時間を計った演習をしない 1問あたり約41秒の配分は、練習しないと本番で初体験になります。
よくある質問
独学だけで合格できますか
G検定は受験資格に制限がなく、認定講座の修了などの受験要件もありません(JDLA公式ページ)。そのため独学で受験・合格している人は多く、合格者アンケートでも市販の書籍が上位の教材として挙げられています。一方で、学習を1人で続けるのが難しい人や、業務で使う前提知識から入りたい人には講座が向きます。向き不向きの整理はG検定の対策講座と教材の選び方|費用と認定の見方に譲ります。どちらが有利かを断定できる公開データはありません。
公式テキストだけで足りますか
JDLAは公式ページで監修書籍を案内していますが、「これだけで合格する」という趣旨の記載はありません。合格者アンケートで挙がった使用教材にはテキストと問題集の両方が並びます。本記事の3段構成でいえば、テキストは1段目、問題集は2段目の役割で、どちらか一方では往復が起きません。
勉強時間が30時間に届きません。どこを削ればよいですか
1段目(テキストを読む精度)から削り、3段目(時間を計った通し演習)は残してください。前節「残り日数が足りないときの詰め方」の目安を使うと、10時間前後でも形は作れます。ただし合格者アンケートの中心は30〜50時間です。短縮した分の取りこぼしは残る前提で判断してください。
まとめ
- G検定の独学はテキスト1巡 → 分野別演習 → 時間を計った通し演習の3段で回します。
- 勉強時間の目安は、JDLA公開の合格者アンケートで30〜50時間が最多(25.3%)。15〜30時間が21.5%、50〜70時間が18.4%です。
- シラバス10分野のうち、数理・統計は機械学習の前に前倒し、法律・倫理2分野は後半に日を先に確保するのが独学の型です。
- 分野ごとの出題比率と合格ラインは公表されていません。配分は目安として扱い、公表されていない基準を前提に捨て分野を作らないでください。
- 試験仕様(オンライン100分・会場120分・145問程度・受験料一般13,200円税込)は、2026年9月時点でJDLA公式ページとよくある質問に記載のある値です。受験前に必ず原典で最新をご確認ください。
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- G検定の出題範囲(シラバス)|10分野の内容と改訂点 分野ごとに何が含まれるかを確認する
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- G検定の予想問題10問|分野別の解き方と間違えやすい論点 2段目の演習に入るときの入口
本記事はAI資格ナビ編集部が公開情報をもとに作成しました。当サイトはJDLAおよび各試験の主催団体とは関係のない非公式の情報サイトです。試験日程・受験料・出題範囲・試験仕様は変更される場合があります。受験の判断は必ず主催団体の公式ページでご確認ください(2026年9月時点の情報)。