E資格(エンジニア資格)の勉強を始めるとき、多くの人が最初につまずくのが「結局、何が出るのか」です。E資格は主催団体である一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)がシラバス(試験出題範囲)を公開しているため、出題される分野そのものは推測ではなく公開情報で確認できます。
この記事では、JDLAが公開しているシラバスの分野構成と、結果発表で公表される科目別の平均得点率を突き合わせ、「どの分野を、どの順番で、どれくらい」やるかを判断する材料を整理します。数値はすべて2026年9月時点でJDLAが公開しているものです。
結論:出題範囲は公開されているが、分野ごとの「出題比率」は公表されていない
先に結論だけまとめます。
- E資格のシラバスはJDLA公式サイトで公開されており、PDFで誰でも確認できます(2026年9月時点)。
- シラバス上の大きな区切りは「数学的基礎」「機械学習」「深層学習の基礎」「深層学習の応用」「開発・運用環境」の5ブロックです。
- 一方、JDLAが公開しているページ上には分野ごとの出題比率(何問ずつ出るか)は示されていません。「〇〇分野が全体の△%」といった配分表は、2026年9月時点では確認できません。
- そのかわりJDLAは、試験ごとの結果発表で科目別の平均得点率を「応用数学/機械学習/深層学習/開発環境」の4科目で公表しています。配分の代わりに「受験者が実際にどこで点を落としているか」を読む材料になります。
- 合格基準(何点で合格か)は、JDLAの試験概要ページには明記されていません。
つまり「比率を調べて捨て分野を決める」という準備の仕方は、公開情報の範囲では成り立ちません。この記事では代わりに、シラバスの構成を分野別に読み、平均得点率から弱点になりやすい場所を推定する見方を紹介します。
まず押さえる試験の事実(2026年9月時点)
出題範囲の話に入る前に、JDLAが公開している試験そのものの条件を確認します。いずれもJDLA「E資格とは」および各回の結果発表の記載によるものです。
- 受験資格:JDLA認定プログラムを、試験日の過去2年以内に修了していること
- 受験料(税込):一般 33,000円/学生 22,000円/会員 27,500円
- 試験時間:120分
- 出題形式:知識問題(多肢選択式)。2025年第1回・2025年第2回・2026年第1回はいずれも出題数104問と発表されています
- フレームワーク:PyTorchまたはTensorFlowを利用した実装も扱われ、受験時にどちらかを選択します
- コードの記述言語:JDLAは「ソースコードを含む問題については、Pythonで記述、またはフレームワークを利用した問題を出題します」と記載しています
- 合格基準:公式ページに明記なし
- 2026年の日程:第1回 2026年2月20日〜22日、第2回 2026年8月28日〜30日。本稿執筆時点(2026年9月16日)で2026年第2回の結果は未発表です
受験資格と費用の詳細、認定プログラムをどう選ぶかについては、E資格の受験資格と費用の記事で別に整理しています。この記事では費用面には立ち入らず、出題範囲に絞って扱います。

シラバスの分野構成を分野別に読む
JDLAの「E資格とは」のページには、シラバスの大分類と、その配下の項目が一覧で掲載されています。2026年9月時点で掲載されている構成は次のとおりです。
数学的基礎
「確率・統計」「情報理論」の2項目です。深層学習の手法を選ぶ・評価する土台になる部分で、範囲としては広くありません。ただし後述する平均得点率を見ると、回によって受験者の得点が大きく振れている分野でもあります。
機械学習
「機械学習の基礎」の1項目です。シラバス上の項目数は最も少なく見えますが、深層学習以前の基本的な考え方(学習と評価、過学習、指標の読み方など)が土台としてまとめられている場所です。項目数の少なさと学習量の少なさは一致しない点に注意してください。
深層学習の基礎
「順伝播型ネットワーク」「深層モデルのための最適化」「深層モデルのための正則化」「畳み込みニューラルネットワーク」「リカレントニューラルネットワーク」「Transformer」「汎化性能向上のためのテクニック」の7項目です。E資格の中心にあたるブロックで、項目数も最も多くなっています。
深層学習の応用
「画像認識」「物体検出」「セマンティックセグメンテーション」「自然言語処理」「生成モデル」「深層強化学習」「様々な学習方法」「深層学習の説明性」の8項目です。基礎で学んだ構造が、具体的なタスクにどう使われるかを扱う範囲です。
開発・運用環境
「エッジコンピューティング」「分散処理」「アクセラレータ」「環境構築」の4項目です。モデルそのものではなく、動かす側の知識を問う範囲です。

「配分」はどう見るか:科目別平均得点率から読む
ここが実務的にいちばん役に立つところです。JDLAは各回の結果発表で、受験者数・合格者数・合格率に加えて科目別の平均得点率を公表しています。注意したいのは、この結果発表での科目名が、シラバスの見出しと表記が異なることです。
- 結果発表の科目名:応用数学/機械学習/深層学習/開発環境(4科目)
- シラバスの見出し:数学的基礎/機械学習/深層学習の基礎/深層学習の応用/開発・運用環境(5ブロック)
JDLAは両者の対応関係を明示していないため、「応用数学=数学的基礎」と断定はできません。ただし科目数と並び順から、結果発表の4科目のほうが粗い括りになっていることは読み取れます。ここでは表記をそのまま分けて扱います。
| 回(試験日) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 応用数学 | 機械学習 | 深層学習 | 開発環境 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2025年第1回(2025年2月21日〜23日) | 1,043名 | 712名 | 68.26% | 61.14% | 62.15% | 57.71% | 68.74% |
| 2025年第2回(2025年8月29日〜31日) | 1,039名 | 730名 | 70.26% | 53.52% | 69.23% | 61.50% | 79.62% |
| 2026年第1回(2026年2月20日〜22日) | 1,317名 | 911名 | 69.17% | 60.48% | 59.91% | 60.74% | 79.46% |
出典:JDLA「2025年 第1回 E資格」「2025年 第2回 E資格」「2026年 第1回 E資格」各結果発表。累計合格者数は2026年第1回時点で10,838名と発表されています。
この表から読めることを、断定を避けて整理します。
- 開発環境は相対的に平均得点率が高い:3回とも他科目より高く、直近2回は79%台です。範囲が狭く、対策の効果が出やすい科目である可能性があります。
- 応用数学は回による振れ幅が大きい:53.52%〜61.14%と、4科目のなかで最も上下しています。出題内容によって難易度が変わりやすい科目と考えられます。
- 深層学習・機械学習は概ね60%前後で安定:極端に落としている科目ではない一方、突出して取れている科目でもありません。
- 合格率は3回とも68%〜70%台:受験資格が認定プログラム修了者に限られるため、受験者の母集団がすでに絞られている点を踏まえて読む必要があります。
ここから言えるのは「開発環境は取り切る前提で組み、応用数学は回によるブレを見込んで厚めに」という配分の考え方です。これはあくまで公表値からの推定であり、次回の出題を保証するものではありません。合格率そのものの推移はE資格の難易度と合格率の記事で詳しく扱っています。
シラバス改定(E2026#2〜)で何が変わったか
E資格のシラバスは改定されています。JDLAが2025年9月19日に公表した内容によると、2026年8月開催の「E資格2026#2」から改訂後のシラバスが適用され、2026年第1回は改定前のシラバスでの開催でした。
変更の内容についてJDLAは「最新の技術動向を踏まえ、キーワードの見直しのみ行っております」と説明しています。大分類そのものの入れ替えではなく、各項目に含まれるキーワードの更新が中心という位置づけです。
JDLAのダウンロードページには、適用回ごとに複数のシラバスPDFが並んでいます(2026年9月時点)。
- E資格の試験出題範囲(シラバス)E2026#2〜(現行)
- E資格の試験出題範囲(シラバス)E2024#2〜(E2026#1まで適用)
市販の教材や過去の受験体験談を参照するときは、それがどの適用回のシラバスを前提にしているかを必ず確認してください。ダウンロードページの一覧はJDLA「シラバス」から確認できます。
出題範囲から逆算した勉強の手順
公開情報から組み立てられる、無理のない進め方を手順にします。勉強時間の目安そのものはE資格の勉強法と勉強時間の目安で扱っているため、ここでは範囲の潰し方に絞ります。
- 現行シラバスPDFを1回通しで読む:解けるかどうかは問わず、項目名を全部目に入れます。知らない語をその場で数えると、自分の白地が可視化されます。
- 認定プログラムの教材とシラバスを突き合わせる:受講中・修了済みのプログラムがシラバスのどのブロックまでカバーしているかを、項目単位でチェックします。カバーされていない項目が自習範囲になります。
- 深層学習の基礎(7項目)を軸に据える:項目数が最も多く、応用ブロックの前提にもなります。ここが曖昧なまま応用に進むと戻る回数が増えます。
- 深層学習の応用(8項目)はタスク単位で回す:画像・自然言語・生成・強化学習と性質が違うため、まとめて一気にではなくタスクごとに区切ります。
- 数学的基礎と機械学習は、詰まったところに戻る形で補う:先に完璧にしようとすると進みません。深層学習の学習中に理解が止まった箇所を起点に戻るほうが効率的です。
- 開発・運用環境は範囲が限られるので終盤にまとめて:4項目と範囲が狭く、平均得点率も高めに出ている科目です。直前期の詰め込みが効きやすい領域と考えられます。
- フレームワークを決めて実装に触れる:PyTorchかTensorFlowのどちらで受験するかを早めに決め、選んだ側のコードを読む時間を確保します。

よくある失敗
出題範囲の扱いでつまずきやすい点を挙げます。
- 古いシラバス前提の情報で計画を立てる:E資格のシラバスは複数回改定されています。ブログや体験談を参照するときは、公開時期と適用回を確認してください。
- 「出題比率」を書いた情報を鵜呑みにする:2026年9月時点でJDLAの公開ページに分野別の出題比率は示されていません。比率を明示している情報源に当たったときは、その根拠がどこにあるかを確認することをおすすめします。
- 項目数の少なさを学習量の少なさと取り違える:「機械学習」はシラバス上1項目ですが、それは扱う内容が少ないことを意味しません。
- 受験資格を後回しにする:E資格は認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していることが受験の前提です。範囲の勉強より先に、この条件を満たす見通しを立てる必要があります。
- フレームワークを決めないまま実装を眺める:受験時にPyTorchかTensorFlowを選択します。両方を中途半端に触ると、どちらのコードも読み切れないまま本番を迎えがちです。
まとめ
E資格の出題範囲は、JDLAが公開しているシラバスで確認できます。大きくは「数学的基礎」「機械学習」「深層学習の基礎」「深層学習の応用」「開発・運用環境」の5ブロックで、項目数では深層学習の基礎(7項目)と応用(8項目)が中心です。
分野ごとの出題比率は公表されていないため、配分を決める手がかりは結果発表の科目別平均得点率になります。直近3回では開発環境が高め、応用数学が回によって振れる傾向が見られました。ここから「開発環境は取り切る、応用数学はブレを見込む」という組み立てが導けます。いずれも公表値からの推定であり、次回の出題を保証するものではない点は押さえておいてください。
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よくある質問
Q1. E資格の出題範囲はどこで確認できますか?
JDLA公式サイトのシラバスのダウンロードページで、適用回ごとのPDFが公開されています。大分類と配下の項目名は「E資格とは」のページにも一覧で掲載されています(2026年9月時点)。市販教材ではなく、まず一次情報を見ることをおすすめします。
Q2. 分野ごとの出題比率は公表されていますか?
2026年9月時点で、JDLAの公開ページに分野別の出題比率は示されていません。公表されているのは、各回の結果発表に載る科目別の平均得点率(応用数学・機械学習・深層学習・開発環境)です。比率の代わりにこの数値を配分判断の材料にする形になります。
Q3. シラバス改定でこれまでの教材は使えなくなりますか?
JDLAは改定について「最新の技術動向を踏まえ、キーワードの見直しのみ行っております」と説明しており、2026年8月開催のE資格2026#2から適用されています。大分類の構成そのものが入れ替わったという発表はありません。ただし教材が改定前後のどちらを前提にしているかは確認が必要です。判断に迷う場合は、現行シラバスPDFと教材の目次を突き合わせて、抜けている項目を自分で補う進め方が確実です。
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本記事は主催団体が公開している情報をもとに、AI資格ナビ編集部が整理したものです。AI資格ナビはJDLAをはじめとする各主催団体とは関係のない非公式の情報サイトです。試験制度・日程・受験料は変更される場合があるため、受験前に必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。